個別管理図

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個別管理図とは

個別管理図は工程を監視するために使用される管理図の一種である.管理図が最初に言及されたのは, Walter Shewhart (シューハート)がベル研究所で働いていた1924年に書いた論文の中である.彼は,彼の本(1931年)で,彼の手法を完全に説明した.

長い間,管理図の領域では重要なイノベーションがなかった.1936年に CUSUM,UWMA および EWMA 図の開発によって,Deming(デミング)が利用可能な管理図の種類を拡張した.

管理図は,もともと物品の生産の領域で使用されていた.したがって,用語がその領域に由来している.今日,このアプローチは,たとえば,人事や販売など,さまざまなたくさんの分野にも適用されている. 以下の行では,生産や作業現場の用語が用いられる.

XLSTATでの個別管理図

個別管理図ツールは,下記の管理図を単独または組み合わせで提供する:

  • X 個別: X 個別管理図は,生産工程の移動平均を追うのに便利である.平均シフトをダイアグラムで簡単に見ることができる.
  • MR 移動範囲: MR 管理図(移動範囲ダイアグラム)は,生産のバラツキを分析するのに便利である.異なる生産ラインの使用によって起きる生産での大きな差異を簡単に見ることができる.

注意 1: より小さな平均シフトを調査したい場合は,CUSUM 個別管理図を使用することもでき,これはよ小さな平均シフトを検出できるので,個別管理図と比較してよく好まれている.

注意 2: 各時点で複数の測定量がある場合は,サブグループ用の管理図を使用するべきである.

注意 3: 質的データで測定値を持つ場合(たとえば,OK,OKでない,適合する,適合しない),属性用の管理図を使用する.

XLSTAT の個別管理図オプションは,n個の測定値が任意のデータ集合の標準偏差(シグマ)の推定に下記のオプションを提供する:

  • 平均移動範囲: シグマの推定値が, m 個の測定値の窓幅を用いた平均移動範囲に基づいて計算される. Ŝ = m / d2, ここで d2 は,Burr (1969)による管理図定数.
  • 中央値移動範囲: シグマの推定値が,m 個の測定値の窓幅を用いた移動範囲の中央値に基づいて計算される. Ŝ = median / d4, ここで d4 は,Burr (1969)による管理図定数.
  • 標準偏差: シグマの推定値が,n 個の測定値の標準偏差に基づいて計算される.Ŝ = s / c4, ここで c4 は,Burr (1969)による管理図定数.

工程能力

工程能力は,工程を説明して,工程が管理下にあり,測定された変数の分布が工程の規格限界内にあるかどうかを知らせる.測定された変数の分布が技術的な管理限界内にある場合,その工程は“能力がある”という.

工程能力のさまざまな指標を解釈する際,いくつかの指標が測定された変数の分布の正規性または,少なくとも対称性を仮定していることに注意されたい.正規性検定の使用によって,これらの前提を検証できる(XLSTAT-Proの正規性の検定を参照).

データが正規分布でない場合,工程能力の結果を得るために次の選択がある.データ集合の正規性を改善するために Box-Cox 変換を使用する.そして,正規性検定を用いて,再び正規性を検証する.工程能力指標 Cp 5.5を用いる.

能力が計算されると,表は,工程についての以下の指標と,もし可能であれば,対応する信頼区間を含む: Cp, Cpl, Cpu, Cpk, Pp, Ppl, Ppu, Ppk, Cpm, Cpm (Boyle), Cp 5.5, Cpk 5.5, Cpmk, and Cs (Wright).

Cp, Cpl, および Cpuについては工程性能に関する情報が提供され,Cp については解釈を助けるために状態情報が提供される.

Cpの解釈

  • Cp の値は,Ekvall および Juran (1974)に基づく下記の状態を持つ:
    • Cp < 1なら,"不十分"
    • 1 ≤ Cp ≤ 1.33なら,"よい"
    • Cp > 1.33なら,"十分"
  • Montgomery (2001)に基づき,Cp は期待される工程性能について以下の最小値を持つ必要がある:
    • 既存工程では1.33
    • 新規工程または,その変数が重要な場合の既存工程では1.50
    • その変数が重要な場合の新規工程では1.67
  • Montgomery (2001)に基づき,Cpu と Cpl は期待される工程性能について以下の最小値を持つ必要がある:
    • 既存工程では,1.25
    • 新規工程または,その変数が重要な場合の既存工程では1.45
    • その変数が重要な場合の新規工程では1.60 

管理図ルール

XLSTAT は,データ集合で特殊要因のルールとウェストガード・ルールを適用する選択を提供する.管理図を解釈するために,2種類のルールが利用可能である.各ルールを別々に有効または無効にできる.

特殊要因の検定:

  • 中心線から3シグマ以上で1 ポイント
  • 中心線から同じ側に9 ポイント連続
  • 6 ポイント連続,すべて増加または減少
  • 14 ポイント連続,交互に上がり下がり
  • 3 ポイント中2ポイント > 中心線から2シグマ(同じ側)
  • 5 ポイント中4 ポイント > 中心線から1シグマ(同じ側)
  • 1中心線から(いずれかの側)1シグマ以内に15ポイント連続
  • 8 ポイント連続 > 中心線から1シグマ(いずれかの側)

ウェストガード・ルールを適用:

  • ルール 1 2s
  • ルール 1 3
  • ルール 2 2s
  • ルール 4s
  • ルール 4 1s
  • ルール 10 X

XLSTATでの個別管理図のプロット

リクエストされた各管理図ごとに,以下の結果が表示される.管理図は単独,または X 個別管理図との組み合わせで選択できる.

  • X 個別 / MR 移動範囲管理図: この表は,選択された管理図の中央線と上方および下方管理限界に関する情報を含む.各フェーズについて1列となる.
  • オブザベーション詳細: この表は,各サブグループの詳細情報を表示する.各サブグループで,対応するフェーズ,サイズ,平均,最小および最大値,中心線,下方および上方管理限界が表示される.ゾーンA,B および C に関する情報が有効になっている場合,ゾーン A および B の下方および上方管理限界も表示される.
  • ルール詳細: ルール・オプションが有効になっている場合,ルールに関する詳細の表が表示される.各サブグループについて,適用する各ルールに1行が充てられる.“Yes” は,対応うるルールが対応するサブグループに活性化することを示す,“No” は,ルールが適用されないことを示す.
  • X 個別 / MR 移動範囲管理図: 管理図が有効になっている場合は,上記の2つの表の情報を含む管理図が表示される.各サブグループが表示される.中心線と下方および上方管理限界も表示される.対応するオプションが有効にされた場合,ゾーン A および B の下方および上方管理限界が含まれ,ルールが活性化されたサブグループのラベルがある.有効化されたルールのリジェンドと対応するルール番号が管理図の下部に表示される.
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