属性のゲージR&R(反復性と再現性)

属性用ゲージ反復性と再現性とは
測定システム分析(MSA :Measurement System Analysis)またはゲージ R&R (Gage Repeatability and Reproducibility)は,測定プロセスを管理または審査するための手法である. どのソースが測定データの変動の原因であるかを決定するのに有用である.バラツキは,測定システム,オペレータ,またはパーツによって引き起こされる.
“ゲージ” という言葉は,この手法が計器または測定手法の検証を目的としていることに由来する.
量的測定値のゲージ 量的測定値のゲージ R&Rとは異なり,この分析は,“一致度” および “正確さ”の情報を与える属性に基づいている.この場合は,分散,反復性,再現性のコンセプトは関係しない.
同じオブジェクト(応用の領域によって,製品,ユニット,パーツ,またはサンプル)で,繰り返し任意のオペレータによって,測定の高い “一致度” が取られることは,そのオペレータが一貫性がある(矛盾がない)ことを示す.測定システムの一致度が低い場合,測定システムまたはプロトコルの品質を疑うか,測定システムが一致度の欠如の原因でないようであれば,高い一致度が得られないオペレータを訓練するべきである.
所与の参照値または標準値との比較で,同じオブジェクト(応用の領域によって,製品,ユニット,パーツ,またはサンプル)で1人のオペレータによって,測定の高い“正確さ” が取れれることは,そのオペレータが正確な結果をもたらすことを示している.測定システムの正確さが低い場合,結果がより正確になるようにオペレータを訓練するべきである.
正確さはカッパ または Kendall 統計量を用いて計算できる.カッパ係数は,質的測定値と順序の量的測定値の場合に使用できる.Kendall 係数は,少なくとも3 つのカテゴリを持つ順序測定値の場合に使用できる.
“一致度” と “正確さ” の2つのコンセプトは,任意のオペレータで,標準と比較された任意のオペレータで,2人のオペレータの間で,および標準と比較されたすべてのオペレータで計算できる.
属性のためのゲージR&R の目的は,低い一致度と低い正確さを識別し,必要であれば必要なアクションをとることである.
XLSTATでの属性のためのゲージ反復性および再現性
XLSTATの属性用ゲージR & R ツールは,複数のパーツで1人または複数のオペレータによって,複数の質的測定が行われる場合に,測定手法測定システムをコントロールして検証するために使用される.
XLSTATでの属性用ゲージ反復性および再現性の結果
測定値が質的または順序の量的データである場合,属性のためのゲージR&R 分析は,一致度と正確さを計算するために,以下の統計量に基づいている.
- 一致度
- 不一致度
- カッパ係数
- Kendall 係数
もし可能であれば,以下の比較が実行される:
- オペレータ内
- オペレータ vs. 標準
- オペレータ間
- すべてのオペレータ vs. 標準
一致度統計量
すべてのセクションで,これらの統計量を計算することができる.オペレータ内のセクションでは,XLSTATは,各オペレータについて,繰り返しでの任意のパーツでそのオペレータ自身の結果と一致するケースの数を計算する.
さらに,ケースの数とそのオペレータの検査の合計数の比が計算される.
オペレータ vs. 標準のセクションでは,XLSTATは,オペレータが繰り返しでの標準と一致するケースの数を与える.さらに,ケースの数とそのオペレータの検査の合計数の比が計算される.
オペレータ間のセクションでは,XLSTATは,任意のパーツおよび繰り返しで,すべてのオペレータが一致するケースの数を計算する.さらに,ケースの数とすべてのオペレータの検査の合計数の比が計算される.
すべてのオペレータ vs. 標準のセクションでは,XLSTAT は,すべてのオペレータが標準と一致するケースの数が計算される.さらに,ケースの数とすべてのオペレータの検査の合計数の比が計算される.
さらに,信頼区間が計算される.比率については,XLSTAT は単純(Wald, 1939) および修正済み (Agresti and Coull, 1998) Wald 信頼区間,Wilson スコア (Wilson, 1927)に基づく計算,場合によっては連続性の補正,またはClopper-Pearson (1934) 信頼区間を使用することができる.Agresti と Caffo は,修正済みWald 信頼区間または Wilson スコア信頼区間を使用することを推奨している
不一致度統計量
この統計量は,測定変数がバイナリ(たとえば,成功か失敗か)であるケースでのオペレータ vs. 標準のセクションで計算される.3種類の不一致統計量が,各オペレータについて計算される:
- 偽陰性: この統計量は,あるパーツが標準ではカテゴリ1と評価されるのに,任意のオペレータがシステマティックにそれをカテゴリ0と評価するケースの数をカウントする.さらに,カテゴリ0 のすべてのパーツでの偽陰性の比率が表示される.
- 偽陽性: この統計量は,あるパーツが標準ではカテゴリ0と評価されるのに,任意のオペレータがシステマティックにそれをカテゴリ1と評価するケースの数をカウントする.さらにカテゴリ 1 のすべてパーツでの偽陽性の比率が表示される.
- 混同: この統計量は,繰り返しでの任意のパーツの評価において,あるオペレータが矛盾しているケースの数をカウントする.そのようなケースの比率が,混同とパーツの合計数の間の比として計算されて表示される.
カッパ係数
Cohen および Fleiss のカッパは,質的変数によく適している.これらの係数は対応のある標本から得られる分割表(クロス表)で計算される.Fleissのカッパは,Cohenのカッパの一般化である.カッパ係数は,-1 と1の間の値をとる.カッパが1に近いほど連関が高い.
オペレータ内分析の場合,任意のパーツで2つ以上の測定値が1人のオペレータによって取られる必要がある.オペレータ vs. 標準の場合,各オペレータでの測定の数が,標準での測定の数と等しくなければならない.
オペレータ間の場合,比較されている2人のオペレータの調査の数が等しくなければならない.すべてのオペレータ vs. 標準の場合,任意のパーツでの各オペレータの調査の数が等しくなければならない.
Kendall 係数
これらの指標は,少なくとも3 つのカテゴリを持つ順序(量的)変数で利用できる.
Kendallのタウ:タウ-bとも呼ばれるこの係数は,2つの順序変数の間の一致度(degree of concordance)を-1 から 1 のスケールで測定できるようにする.Kendallの一致係数:この係数は, 2つの順序変数の間の一致度を0 (不一致)から 1(完全一致)のスケールで測定する.
係数は,各オペレータを標準と,オペレータ同士を,およびすべてのオペレータvs.標準で比較することにより,測定システムを評価するために計算される.
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